こととも保育園もりやま

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サンピーチしかやま物語

こんにちは。
もも組(2歳児クラス)担任の
河合です。

もも組の子どもたちは
虫が大好きです。

初めて、もも組の子どもたちが
保育室へ連れてきたのは、
園庭にいた
テントウムシの幼虫でした。

虫好きの子どもたちが
喜ぶ顔がうれしくて、
わたしたち保育者も一緒になって
虫との出会いを楽しんでいるうちに、
次々と飼育ケースが増え、
置き場がなくなってしまいました。

そこで、
6月に生きものたちの棚を
新設しました。

名付けて、
マンション【サンピーチしかやま】です!

 

サンピーチしかやまは現在、
満室御礼中で、
住人にはテントウムシ、ダンゴムシ、
アゲハチョウ、カタツムリ、バッタ、
クワガタ、カブトムシ、ツマグロヒョウモン、
ゴミムシダマシ、メダカ、セミがいます。

今回はサンピーチしかやまの住人、
ツマグロヒョウモンさんの物語を
お届けします。

絵本『はらぺこあおむし』が
大好きな子どもたちですが、
ツマグロヒョウモンさんも、
とってもはらぺこで、
子どもたちが園庭で摘んできてくれる
スミレの葉っぱをもりもり食べ、
すくすくと大きくなりました。
(ツマグロヒョウモンさんが
スミレの葉を食べることが
わかった子どもたちは、
ちゃんと他の葉っぱと見分けて
スミレの葉を摘んでくれるように
なっていました。)

そんなある日、
ツマグロヒョウモンさんが
木の枝にぶら下がり、
身体を揺らしながら見る見るうちに、
さなぎに変身しました。

この様子に
子どもたちも大人もビックリ!
目の前で幼虫から
さなぎに変化する姿に、
自然の神秘を感じずには
いられませんでした。

まさに、
センスオブワンダーの世界でした。

それから8日後、
ツマグロヒョウモンさんは、
今度はちょうちょに変身しました。

さなぎから出てくる瞬間は
惜しくも見ることが
できませんでしたが、
さなぎから出たばかりの
ツマグロヒョウモンさんを
見つけて観察。

ツマグロヒョウモンさんは
しばらくじっと
羽を休ませていました。
そして、羽をひらひらと
させるようになりました。

この様子を見て、
「外に出たいんじゃない」
「逃がしてあげる」
と言う子どもたち。

そこで、
ツマグロヒョウモンさんを
飼育ケースから出すと、
保育者の手に
じっととまったまま動きません。

その様子はツマグロヒョウモンさんが
保育者に懐いているかのようでした。

子どもたちも
「手にのせてみたい」と言うので、
そっと子どもの手にのせると、
それでも羽ばたかず
とまっていてくれました。

次々と
「ぼくも」「わたしも」と
言う子どもたち。

その声に応えるかのように、
ツマグロヒョウモンさんは、
順に一人ひとりの手にとまってくれました。

普段は元気いっぱいで大声で
走り回っている子どもたちですが、
この時ばかりは静かにそっと
ツマグロヒョウモンさんを手にのせ、
自分の指先にとまる
ツマグロヒョウモンさんを
じっと見つめて、
何かを感じている様でした。

ツマグロヒョウモンさんと
十分に触れ合っているうちに、
ツマグロヒョウモンさんが
羽をひらひらさせて
舞い上がるようになってきました。

 

いよいよツマグロヒョウモンさんとの
お別れです。

ツマグロヒョウモンさんをのせた手を
窓からそっと出して、
「ばいばーい」
「行っていいんだよ」
「がんばれ」と
お別れをしようとしましたが・・・
3分ほど待っても飛んでいきません。

「あれ?お別れしたくないのかな?」
「今日お休みのAちゃんにも会いたいんじゃない?」
という声があがり、もう一晩、
【サンピーチしかやま】に泊まることになりました。

大切に育ててきた
ツマグロヒョウモンさんは、
子どもたちとの別れを
惜しんでいるかのようでした。

そして翌日。
散歩へ出かける前、門のところで、
今度こそお別れをしようと
ケースから出して
「ばいばーい」をしました。

 

ところが、またまた
ツマグロヒョウモンさんは、
飛んで行こうとしません。

そこで、
門の植物にのせてあげると、
じっととまっています。

本当はわたしたちが
ツマグロヒョウモンさんを
見送ってあげるはずだったのですが、
門にとまっている
ツマグロヒョウモンさんに、
子どもたちが
「ばいばーい」と言い、
ツマグロヒョウモンさんに、
逆に見送られる形となって
散歩へでかけました。

そして、
散歩からの帰り道、
子どもたちに
「ツマグロヒョウモンさん、
もう飛んで行ったかな?」
と聞くと、
「ううん。いる」
という答えが返ってきました。

まさか、
待っていてくれることはないだろうと
思ったのですが、
何と!ツマグロヒョウモンさんは
門のところで、
子どもたちの散歩の帰りを
待っていてくれました。

「ただいま」と帰った
子どもたちを見て安心したのか、
その後、ツマグロヒョウモンさんは、
わたしたちが気づかないうちに、
どこかへ飛んで行ったようです。

わたしたちが飼育している
つもりでいましたが、
もしかしたら、
ツマグロヒョウモンさんの方が、
わたしたちもも組のことを、
あたたかく見守ってくれていたかのような、
不思議な出来事でした。

今回は生きものとの触れ合いの中で、
まるで心が通じ合ったかのような、
ツマグロヒョウモンさんと
もも組の子どもたちとの
物語をお送りしました。

子ども時代に、
こんな素敵な体験をした、
もも組の子どもたち。

きっと、大きくなってどこかで
ちょうちょを見た時に、
ちょうちょという一般名称だけでない、
【サンピーチしかやま】の
ツマグロヒョウモンさんのことを
思い出してくれるのではないでしょうか。

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