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大人がモデル
こんにちは。
乳児リーダーの河合です。
先月、東京へ保育の研修に行った際、
乳児クラスで保育士も、
子どもたちと同じ食事を少量用意して、
必要に応じて一緒に食べている
という話を聞きました。
保育園に戻り、
研修で聞いた話を他の職員にすると、
「それいいですね」
「大人がおいしそうに食べているのを見たら、
食べたくないと言う子も、もしかしたら、
食べてみようという気持ちに
なるかもしれませんよね」
という声があがりました。
主任や園長も賛成してくれ、
キッチンスタッフに話をすると、
「子どもたちのために良いことなら」と、
急な提案にもかかわらず、
すぐに保育士用に子どもたちと
同じ食事を少量、
用意してくれることになりました。
わたしはいろいろなクラスに入って
保育をしていますが、ちょうど最近、
1歳児クラスで年度の始めの頃は
何でもよく食べていたAちゃんが、
少しずつ苦手なものが出てきたのか、
「食べたくない」という物が
増えてきているという話を聞いていました。
1歳児クラスの食事の時に、
大人が同じものを食べる様子を見たら、
Aちゃんはどんな反応をするでしょうか。
わたしが1歳児クラスに入らせてもらっている日に、
ちょうどAちゃんが
”春雨とわかめのドレッシング和え”を、
食べたくなさそうにしていました。
そこで、担当保育士に
「Aちゃんと同じものを一緒に食べてみたら」
と声をかけました。
担当保育士が「わたしもAちゃんと同じだよ」と、
Aちゃんの目の前でおいしそうに食べて見せると、
効果てきめん!
担当保育士の食べる様子を見て、
Aちゃんは自分から
ドレッシング和えをスプーンですくって、
もぐもぐと食べてくれました。
大好きな担当保育士が
自分と同じものをおいしそうに食べるという姿が、
Aちゃんの「ちょっと食べてみようかな」
という気持ちを後押ししてくれたようです。
そして、食べてみたら本当はおいしかったのか、
それとも、大好きな大人と同じように
真似をしているうちに食べられてしまったのか、
Aちゃんはそのままドレッシング和えを
全部食べてしまいました。
保育園で毎日一緒に過ごしている大人の姿を、
子どもたちは本当によく見ています。
それは、きっと憧れのまなざしも
あるのではないでしょうか。
「あんなふうに自分もやってみたい」
「ああやってやればいいのか」と、
大人の真似をしていることがよくあります。
大人が子どもたちのモデルに
なっていることを感じます。
Aちゃんが大人をモデルとして、
ドレッシング和えを食べたそのすぐ後、
今度はこんな場面がありました。
そろそろAちゃんたちの食事が
終わりそうだったので、
次に食事をするBちゃんに
「もうすぐごはんだね」と声をかけました。
すると、
ままごとあそびで使っていたエプロン
(本当の食事のときに身に着けるものを
真似してあそべるように
担任が手作りで用意してくれたもの)を、
Bちゃんが床に置いて触っています。
何をしているんだろうと、
よく見ていると、
まだうまくできないけれど、
エプロンをたたもうとして
くれていることがわかりました。
毎日、このクラスに
入るわけではないわたしは、
Bちゃんのこんな姿を初めて見たので感動して、
担任にそっと
「見て!Bちゃんがエプロンをたたもうとしてるよ」
と声をかけました。
クラス担任たちも、
「えっ、本当だ。Bちゃん、すごい」と驚き、
大人みんながBちゃんが
一生懸命たたもうとする様子に注目しました。
すると、Cちゃん、Dちゃんが、
大人たちの気配を察したのか、
次々とBちゃんの真似をして
エプロンを一生懸命たたもうとし始めました。
Bちゃんがエプロンをたたもうとしたのは、
大人の真似をして。
そして、Cちゃん、Dちゃんは、
大人たちが感嘆のまなざしで見つめている
友だちの様子を見て、
「自分も」と真似をし始めました。
大人がすることや言うこと、
大人のまなざし、
大人がどんな気持ちかという雰囲気などを、
子どもたちがまるごと
感じ取って生活していることが
よくわかる姿でした。
だからこそ、大人がモデルとなることや
大人の何気ない言動がとても大切です。
逆に、気づかないうちに、
悪い影響を与えてしまっていないかも
慎重にならなくてはいけません。
こんなにも、
よく見て真似をしてくれる
子どもたちの姿に、
謙虚にわが身を振り返らなくては
いけないと感じました。