時が経って わかったこと
こんにちは。
乳児リーダーの河合です。
普段は乳児クラスに入ることが
多いのですが、
今回は幼児クラスのAちゃんのことを
お伝えします。
さかのぼること2年前、
私はもも組(2歳児クラス)の
担任をしていました。
2年前に受け持たせてもらったAちゃんが、
今は年中組になっています。
幼児クラスのお昼寝の時間に、
少しだけ私が入ることになった日のことです。
その日はなかなか寝付けなかったAちゃんが、
2年前に担任だった私を見て、
小さな声でこんなことをつぶやきました。
「ねえ、奈保子さん。Aちゃんがもも組の時、
奈保子さんと一緒じゃないと寝れないって
怒ったことあったよねえ」と。
このつぶやきを聞いて、
私もその場面を昨日のことのように
鮮明に思い出しました。
あの頃のAちゃんはイヤイヤ期真っただ中で、
感情が爆発して大声で怒ることがよくありました。
そんなAちゃんが今では、
寝ている友だちのことを気づかって
小声で穏やかに話をしています。
私は“自分が怒っていたことを
他にも覚えているのかな?”と思い、
こう聞いてみました。
「Aちゃん、もも組の時、
他にも怒っていたこと覚えてる?」と。
すると、
「うん。電車がうまく走らなくて
怒ってたよねえ」と、
当時の自分を思い出し、
ちょっと笑いながら言いました。
そして、
「あれは、Aちゃんが電車を
長くつなぎ過ぎてたからだよねえ」と
はにかみながら言ったのです。

私は
「えっ?うまく走らなかった
原因をわかっていたの?」と驚きました。

2年前のAちゃんは電車を長くつなげて
線路を走らせようとし、
カーブのところで電車が脱線してしまう度に、
大声で怒っていました。
それは、来る日も来る日も続きました。
当時の私は
「そんなに怒っても、
電車が長すぎるから難しいのでは…」と、
長い電車を2歳児さんが一人で走らせることは
無理ではないか…という気持ちでした。

けれど、Aちゃんが
その時にしたかったことは、
「長くつないだ電車を走らせること」
だったのです。

Aちゃんは電車が脱線する理由が、
今だからわかるのか。
それとも、2年前にも
“わかっていた”のでしょうか。
おそらく、繰り返しあそんできたことで、
“わかるようになってきた”のではないかと
Aちゃんの言葉から感じました。
電車を長くつなげると
脱線することはわかるようになった。
けれど、それでもやりたかった。
だから、来る日も来る日も、挑戦して、
でも、できなくて…。
だからあんなに大声で泣いて怒っていたのだと、
今になって私は解釈できました。

Aちゃんは泣いたり怒ったりを繰り返しながら、
その年の後半には、両手を使って、
長い電車を脱線しないで走らせることが
できるようになっていました。
やりたいと思ったことを
毎日泣いて怒りながらも繰り返して、
できるようになっていったAちゃん。
Aちゃんはなんて
すごいお子さんなのでしょう!
やりたいという意欲。
そして、簡単にあきらめない粘り強さ。
そして、やりたいことを成し遂げたAちゃん。
(Aちゃんのようなお子さんが、
世界を変えるような発見や発明を
してくれるかもしれません)
そして、2年の時を経て、
「あれは、Aちゃんが電車を
長くつなぎ過ぎてたからだよね」と
さらりと言えてしまうほど大きくなったAちゃん。
子どもたちはたった2年で、
こんなにも大きくなるのですね。
すごいです!
それに引き換え、2年の時を経て、
ようやく当時のAちゃんの姿を解釈している自分…。
子どもが毎日毎日怒って泣いて…
という日々が続くと、正直、大人も大変です。
ですが、今回のAちゃんの言葉から、
そんな大変な日々こそ、
大切な日々だったことがよくわかりました。
そして、怒って泣いてという日々は、
いつの間にか変わって
穏やかに過ごすことができるようになるのです。
今なら、怒って泣いているAちゃんを
俯瞰した目で見ることができそうな気がします。
「子どもがやることには全部意味がある」
ということを聞いたことがあります。
Aちゃんにとって、泣いて怒りながらも
「長くつないだ電車を走らせること」に
こだわり続けたことは、
とても意味があったのだと
2年の時を経てわかったのでした。





